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2008年9月20日 (土)

CQ誌10月号

 今月の特集は「大規模災害とアマチュア無線」。忘れた頃に予告なしにやってくる天災。おこってしまうことは仕方ないが、事後の危険状態を回避することに、自分の趣味であるアマチュア無線が活用され、不安感を少なくできたり救助が迅速に行われたりすることは喜ばしいことだと感じた。

 正直なところ、防災システムにかかわることは趣味の範疇を超え、即座に成果を期待できないこと(天災は身の回りで起こってほしくないという意味)ではある。実質的にクラブ活動などで防災システムにかかわることはできなくても、こういう記事に目を通しておくことは大切なことのように思われた。

 自分にとって簡単にできることはなんだろう?と考えたときに思いついたのは、通常の交信などで明確に相手に情報を伝え受けるための通信テクニックを身につけておくこと。FMの交信ではPTTを押すと同時にしゃべり始める方も少なからずいるように感じるが、PTTを押してから変調がのるまでのほんの1秒以下の時間でコールサインの頭が切れたり、話の主語が相手に伝わらなかったりすることを実体験として感じ、それを回避するオペレーションを無意識のうちに行えるようになることが大切な気がする。コンテストなどでは、頭切れがJK1と7K1を取り間違え、修正するために再送信を要求されることがあることに気が付いている方がどれだけいるだろうか?でも、オペレーションを重ねているうちにPTTを押してから一呼吸おいて話し始めるやり方を身につけている人が多くいると感じるのは間違った理解ではないと思う。 仕事で連絡用に業務用ハンディ機を操作するときに、それがわからず何を伝えたいのか理解しにくい通信が思いのほか多く感じられるのである。

 防災に備えるという意味では、ライセンス(従事者免許証)の範囲内で必要な最大の出力を出せる設備を準備しておくことは大切なことだと感じる。特に移動局の上限の50W出力は3アマであっても申請可能なのであるからそれほど難しいことではないと思う。自分の志向として小電力QRPでの通信を楽しんではいるが、必要な時にQROできることは、通信の相手に確実な情報伝達が必須のときには重要なことだと思う。こちらの出力が不足している原因で相手に情報を伝えられなかった場合、せっかくの従事者資格が役に立たない可能性もあると感じる。記事の中で救済を求めるアマチュア無線家やその情報を受け警察などにQSPされた方が非常時にも関わらず小電力なために通信が行えず、救済活動が遅れたら・・・人命にかかわることになっていたかもしれない。

 自分は実際には即座にQROで電波を発射できる設備は構築していないが、普段使用しないQRO機も車に常備し、144/430MHzのモービルホイップも搭載している。設営に(10分ほどの)時間はかかるかもしれないが、自分にとっての最低限の備えといえるかもしれない。

 QRPでの運用を続けていると、免許状の制限出力自体を下げてしまう方もあり、自分の周りでは複数の方が免許を発給する役所と交渉しQRP免許状を得ている。QRP指向の方のほとんどはその成果(QRP免許状を取得すること)に対して賛辞を送っている。その話題を聞くたびにどこか共感できない気持ちがわきあがってくるのだが、今月のCQ誌を読んで、その気持ちが明確になった。制限のある資源である周波数を趣味のために占有しているアマチュア無線家は、非常時には通信の安定性を高める努力をするべきであり、資格の範囲で最大の送信電力の許可を得るべきだと思う。極端な言い方をすれば、QRP免許状は非常時に非常通信に参加できる可能性を拒否しているようにも思える。

 QRPは自分の指向で行っていることである。QRPの送信電力でも相手に伝えられるようアンテナなどの輻射効率をあげる努力や研究をしたり、コンディションを把握することにつながる運用も楽しい。送信電力の下限は制限がないのであるから、50Wの免許を持っていてもQRPでの運用はなんの問題もないのである。

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コメント

こんにちは
防災意識というのは、難しいものです。
日本に住んでいる以上、どこでも高い確率で大きな地震が起こるものです。ですから、一人ひとりの意識として、考えておかなければなりませんね。大事なことは、電波という共有の資源を使う一人としてhamである自分が、行政に頼ったり任せたりでなく、できることを考えていくことでしょう。
そういう点で、QROも大切ですし、電気が来ないことを考えると、430のハンディも大切、
仲間とのネットワークも大切です。
 私もその辺から地域のクラブの方に働きかけをさせて頂いているところです。

投稿: JI3SBA | 2008年9月20日 (土) 16時03分

尼子さん こんばんは

コメントありがとうございます。
必要な時に必要な強さで相手に情報を伝達できることは大切なことなんだろうと思いました。

もちろんハンディ機も充分役に立つこともあるでしょうね。バッテリーが心配な時は通信が可能であれば出力を落として使うことも利点になるでしょう。ふだんローパワーで運用していると自分の電波が届く範囲もなんとなく身についてくるのだろうと思います。

非常時にうまく使いこなすオペレーションは普段から鍛えておくとよいかもしれませんね。

地域の方とコミュニケーションのネットワークを作っていけるような活動も考えておく必要があるかもしれません。

投稿: 7K1CPT | 2008年9月20日 (土) 23時26分

お話、全く同感です。

送信出力だけは、非常通信と言えども、免許状の
記載内容を超えることは出来ないですね。
その他の通信事項や相手方、設置場所、電波の形式、周波数などは
目的外通信として、変更できますが。

 このことからも、非常通信に対応するためには、
自分に可能な最大の出力の局免許を持っている必要が
あると思います。

HF帯ではまず、4630がそのスタートになると
思いますが、国内交信だけなので、50Wが最低のパワーだと思います。
50Wという値も戦時中の(通信兵の)移動運用の発想から
設定された数字だと、聞いています。

しかし、実際には、VHF帯以上を使って非常通信に対応するという準備が必要だと思います。

4630の非常通信訓練は何十回も経験しましたが、本番は40年間で一度もなし。
現在の4630は複数の特定?局の和文練習場になった感があり、これでは
円滑な非常通信は望めないと思っています。

連盟も非常通信の重要性を謳っているのであれば、
この4630の現状改善とその計画に4630を
加えるべきだと思っています。

投稿: JA1BVA 齊藤 | 2008年9月21日 (日) 10時15分

齊藤さん こんばんは
コメントありがとうございます。

 ほんとうに切羽詰まった状況のなかで、一番信頼感・安心感のあるのは、やはりPHONEによるコミュニケーションかもしれませんね。そうなると、非常の場合V/UHFの利用は必須になるのかもしれません。平野部では近い場所に連絡のできる相手が存在する可能性はありそうですが、電波のよく飛ぶと思われる山間部でも、谷間など場所によっては飛びを期待できない場合も少なからずありそうです。交信によい場所を選ぶことも普段から運用を行っていればおのずと見えてくるような気がします。

 4630のお話、興味深く読みました。非常通信を電信で行う場合は、やはり和文で行うことが、より意思疎通ができる手段なんだろうと思います。でも、和文を熟達するためには、努力も必要ですね。この周波数が訓練の意味合いで定期的に使われていることはけっして悪いことではないような気がしますが、和文練習となると、通常のアマチュアバンドを使用しても良いのではないかと感じます。

 それよりも、4627~4630の周波数を使用できるようにして、SSBによる非常通信訓練のほうが、役に立つように思いました。CWにこだわる理由はどのへんにあるのでしょうね。

 日常、非常通信の訓練に参加している方が、熟達者しか受信できないような符号を送出する方ではないと信じたいところです。

 日中に7MHzでさえスキップ気味な最近のコンディションで4630という周波数が使い物になるのだろうか?という疑問も感じたりしますね。夜間では安定した通信が行えそうな気もしますね。

投稿: 7K1CPT | 2008年9月21日 (日) 19時45分

10月末に名取市で非常災害訓練があります。
今年は机上訓練ではなく、自衛隊なんかも参加する大規模なものだそうで、アマチュア無線家も参加するのだそうです。というか、名取市役所ハムクラブが中心となって、非常通信網を作るような意図があるそうです。
平日の訓練はなかなか参加出来ませんが、金曜日から土曜日にかけて2日間の訓練の予定のようなので、土曜日に参加要請が来るかもしれません。
地震は他人事ではないので、その時は参加しようと考えています。

投稿: ust | 2008年9月22日 (月) 21時55分

sugiさん こんばんは

非常通信訓練、もし酸化するようであれば、どんな形で行われているのか、わかる範囲で教えていただければありがたいです。

昔はJARL NEWSなどでも告知があったようですが、参加する(聞く)チャンスがありませんでした。規約では電文をともなったコンテストのような印象をもったことがありますが、無線を始めたばかりのころで要領をえない状態だったので、通り過ぎてしまったかもしれません。

投稿: 7K1CPT/Yama | 2008年9月23日 (火) 00時09分

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