初めてCQを出す
この文章はROYさんからいただいたコメントに向けて書いています。近い場所に表示されるよう、投稿時間を意図的にずらしています。
CWを始めて初めてCQを出そうとするのには、見えない壁がありますね。思い切ってCQを出してはみたものの「誰も呼んでくれるな」という気持ちになったりすることもあったのではないかと思います。
なぜ壁になってしまうかといえば、ほとんどの場合、「呼ばれたときに取りきれなかったらどうしよう」というような考えだと思います。なかなか捨てることができないこんな気持ちも、CQを出して呼ばれる立場になったときの面白さがどれほど大きなものかという経験をすることで、「なんであんなに躊躇していたんだろう?」という気持ちになるだろうと思います。つまり、始めてしまえばそれほど難しいことだと思わなくなってしまうということです。
以前はラバースタンプQSOと言って、挨拶の文章からお決まりの交換情報、果てはQSL交換の文章に続いてファイナルの出し方までを定型文で送りあうような交信から始めていました。信号が聞こえたら、符号を書きとるだけでも大変なのに、最初にこちらから送るRSTレポートのためにSメーターで信号強度も確認しなくてはいけないし、緊張感が高かったことを覚えています。呼ばれる前から2局同時に呼ばれて符号が取れなかったらどうしよう・・・なんていう余計なことも頭に浮かんだりしていました。
最近では599-BKスタイルでCWをスタートする方も多いように思います。 599-BKのスタイルでは、極端なことを言ってしまえば相手のコールサインだけを正確にとりきることができればOKで他になにもできなくても交信が成立してしまいます。ある意味デビューのしやすさが格段にあがったという印象も受けます。
まず初めてのCQでは、他に対処できなくてもこのスタイルで電波を出してみて慣れというか恐怖心を払拭してみるのも一つの手段だと思います。ただし、呼ばれることに満足しきって同じスタイルを何か月も何年も続けてしまうと、呼ぶ側としては交信内容が交信する前からわかってしまうので呼んでくれなくなる可能性があります。(レポート交換しかしない局と何度も交信する意味は感じられないと思うでしょう)
短い交信であっても、特定の局と交信が終了してさらに他の局と交信したい意思があればすぐに自分のコールサインを打ち出した方が良いと思います。普通の電文を送りあう交信では終了したときに「相手のコールサイン DE 自分のコールサイン」で呼び出しを行いますが、599-BKのスタイルだと、終了直後に自分のコールサインだけしか打ってこない場合が多く、呼ばれたことに気を良くして呼んでくれた相手のコールサインとレポートだけを送り返して交信を成立させてしまいます。これが続くと、JCCサービス局の数をこなす運用にありがちな「誰がCQを出しているんだかわからない運用」になってしまい、「???」の送信がコールサインのコピーを邪魔するようになったり、コールが返ってくるまで呼び続けるいわゆる「呼び倒し」が出てきて、返事をするタイミングを作ってもらえなくなります。「呼び倒し」をする局は、自分のコールが聞こえてこないときには呼び続けますから、他の局のコールを返そうとしても邪魔な信号を送信し続けられ、受信に害を与えます。そうならないためにも、1交信おきに自分のコールサインを送出して、呼ぶタイミング(呼ばせるタイミング)を作るようにします。
そんなことを言ってもたくさん呼ばれたら対処できません。単に「QRZ」や「AGN」を送信しても、複数呼んでくる信号は減りませんし、取りやすくはなりません。なんとか1文字でも2文字でも聞こえた文字を返して、該当しない局の送信を止めさせることによって目的の信号が取りやすくなります。このとき該当しないコールがあるかもしれませんが、絶対にとらないようにします。自分の指定した内容に該当しないコールサインをピックアップしてしまうと、「このCQ局は呼んだもん勝ちだ」という印象を与えてしまい、パイルアップはますますひどくなる可能性があります。
「CQを出す」=「その周波数をコントロールする」という意味合いもありますから、ちょっと頑張ってみるのも良いと思います。
まず、コールサインの一部分だけでもコピーするように努力する。その相手の信号以外は後回しにする。フルコピーできたらレポートを送る。ラウンドQSOという特例もありますが、基本的には一度に相手する数が1局です。その信号に集中して交信を成立させられることを最優先に考えてみましょう。
後半になって、初めてCQを出す内容から離れてしまったかもしれません。CQを出す前の具体的な練習方法なども別スレッドで書いていきますので、しばらくお待ちください。
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コメント
Yama sanありがとうございます!
じっくりと読ませていただきました。
怖いベスト3は
コピ‐出来なけれ恥ずかしい・・・
間違ってパイルになったらどおしよう・・・
こちらのスピ-ドに合わせてくれくれるかなぁ・・・
です。
たまに、QRSに対しすごいスピ-ドで応答する局を聞きます。
A1C OAMも指定を無視される方がたまに・・・
でもやはり見晴らしの良い場所で、大自然の中で、降るような星空の下で、自らがCQを出して移動運用をするのを憧れます。
また来年私の住む関市は
「全国豊かな海つくり大会」があります。
ロ-カルクラブで記念運用を計画していますが、なんとしてもCW OPで参加したいと思っています。
きっとCWデビュ-と同じで、デビュ-してしまえば楽しい事の方が多く、心配していた事すら忘れてしまうのと同じなのでしょうね。
大変参考になりました、ありがとうございました。
PS 普段の交信はほとんど「HK-1S」を使って交信しております。
いつかお空でお会いできましたら2 WAY HK-1Sでお願いします。
投稿: JKR/ROY | 2009年7月27日 (月) 21時01分
ROYさん こんばんは
ベスト3に対する対処法を書いていませんでしたね。
コピーできなければ恥ずかしい → 恥ずかしくないです。S-9の信号であっても思いがけないノイズや混信、心無い人のオンフレチューニングなど、コピーしにくい状況がいろいろな場面でありえます。対処の方法としては聞き返すことです。すべてを聞くのではなくわからなかった所だけ聞くようにする。それに対して聞かれたことを送り直すということで対応してくれれば、交信は成立するのです。
私が良くやってしまうことは、受信時にRITを操作しようとしてペンを落とし、そっちに気が行ってしまうと呼ばれたサフィックスが飛んでしまい、「SRI JA1? PSE AGN KN」と打つ時があります。恥ずかしくないですよ。
間違ってパイルになったらどうしよう → 2~3文字だけでもコピーできればそれを指定して1局ずつ対処しましょう。呼ばれなかった相手も時間があれば待っていてくれます。
こちらのスピードに合わせてくれるかなぁ → どうしても対処できるスピードにしてくれない場合は、「SRI NO COPY」と打って別の局と交信するためにCQを打ってみればよいでしょう。
ただ縦の場合はある程度スピードをコントロールしやすいところもありますが、パドルの操作ではスピードの可変がしにくいリグの場合もありますし、遅いスピードでは打ち間違いが多発する人も中にはいます。早いキーイングが取れるようになったときにお会いしましょうと心で思ってさよならしましょう。気にすることはありません。
CWの世界も一般の世界と同じで、数%は相手に合わせることが体質的にできない人もいます。たまたまそういう人に出くわすこともあるかなというぐらいの気持ちでいないと、外の道を歩くことすらできなくなってしまうでしょう。
ぜひ、勇気を出してCQを出してみてください。CWの世界が一気に広がりますよ。
投稿: 7K1CPT/Yama | 2009年7月27日 (月) 23時11分